調光に対するユーザーからのニーズは、日増しに高まっている傾向にあると思われます。
調光用の通信プロトコルの規格としては

  • DALI
  • S-DIM
  • DMX

などの規格があります。
昨今の状況としては、DALIの需要が高まって様です。

DALIとは

DALI(Digital Addressable Lighting Interface)は,国際オープン規格の照明制御通信プロトコルで、複数のLED 照明の調光を行うために使用でき、異なるメーカの製品間でも通信が可能になる規格です。

DALI通信プロトコルの特徴

  • 1 つのマスタから,スレーブを最大 64 台接続可能
  • 2 線式,半二重,1200 ±10 %[bit/sec] の通信
  • ネットワーク化でスレーブのグループ化が可能
    • 最大 64 のショート・アドレス
    • 最大 16 のグループ・アドレス
  • 254 段階(8 ビット精度)の調光レベル,任意の調光レベルをシーンとして 16 個まで保存または切り替え可能

双方向通信を可能にする調光ネットワークを構築する場合はDALIに準拠した方が良いと思われます。

DALIに対応したコントローラICメーカの取り組みについて

RENESAS

日本メーカーのRENESASの開発状況を調査してみました。

EZ-0008 照明用セットでよく使われている赤外線送信/DALI通信/DMX512通信に対応した通信マスタ評価ボードです。本ボードを利用することにより、通信機能を持ったEZ-0005, EZ-0006, EZ-0011, EZ-0012など照明評価ボードの通信評価を行うことができます。
EZ-0005 FETを使用した降圧式調光を行うLED評価ボードです。78K0/IB2のA/D変換器又はコンパレータ, そしてインバータ用タイマを使用することにより, R, G, Bの三色のLED調光が可能です。
EZ-0006 78K0/IA2を使用したPWM評価ボードです。ボード上には通信I/F, アナログ信号入力パッドとuPD168804降圧式HBLED評価ボード(EZ-0007)を接続する事ができるコネクタを装備しています。EZ-0007ボードを接続する事により4chのLEDを16bitの高分解能で調光することが可能です。
EZ-0011 LED定電流制御ICやPFC制御ICを搭載せず,78K0/IB2マイコンでLED定電流制御やPFC制御を実現するLED照明評価ボードです。任意のLEDを接続可能であり,最大3ch,合計60WまでのLEDの独立調光制御を評価することができます。また,AC電源電圧は100~240Vに対応しており,全世界の電源で動作評価が可能です。
EZ-0012 高精度のLED照明制御機能を内蔵したRL78/I1Aマイコンを搭載しており、本マイコンを用いたシステム開発のレファレンス・プラットフォームとしてご活用いただけます。

ルネサンスのモジュールはDALI通信だけでなくDMX512も対応しており、幅広いニーズに対応できます。
ワンチップ化は進めていないようです。膨大な投資がかかるため、市場の様子を伺いつつ、幅広い対応でユーザーのニーズに応える様です。

参考回路

EZ-0012のDALIインターフェースブロックの回路図を抜粋します。
EZ0012-DALI
DXMと切り替えて使用できるようです。ソフトウェアはもちろん自力で実装する必要がありますね、

STMicro

DigikeyのWebサイトにSTMicroの記事が掲載されていました。

ST7DALIF2を用いた記事です。
とても参考になるかと思います。
ST7DALIF2の上位ブロックを転載します。
article-2013august-designing-wired-lighting-fig2[1]
MPUにDALIの制御ブロックが組み込まれています。
DALI通信モジュール(DCM)の内部ブロック図は以下になります。
article-2013august-designing-wired-lighting-fig3[1]
シリアル通信のBITフレーム制御を簡単にするハードウェア設計になっています。

DALI による無線化への取り組み

RENESASの取り組み

ルネサスの事例として、DALIを制御信号用ケーブル(信号線)を使わずに、実現する2種類のシステムがあるようです。

  • 920MHz帯無線でDALI通信を実現するシステム
  • 電力線通信(PLC)によるシステム

DALI無線化の検討

DALIを無線化するために、DALIプロトコルを少し理解を深める必要があります。

DALI 通信の概要

ビットデータ構造

DALIの有線による通信のビットデータ構造電気信号にはマンチェスタ符号化を用います。
電気信号については、無線化した場合、無線のプロトコルに依存するため、無視されます。

マンチェスタ・コードとは
  • ビット 1 または 0 の定義は H/L といった電圧レベルではなく電圧変化のエッジで表します。
  • 立ち下がりエッジは「0」立ち上がりエッジは「1」とビット定義されます。
  • 通信がない状態では信号は H レベルを維持します。
フレーム構造

DALI 通信プロトコルのフレーム構造は、Forward フレームと Backward フレームで定義されます。

Forwardフレーム

Forward フレームは,マスタから送信されるフレームで,19 ビットで構成されます。

Backwardフレーム

Backward フレームは,スレーブから送信されるフレームで,11 ビットで構成されます。
マスタからの問いかけに対する返信用となっています。

送受信タイミング

(1) フレームボーレート

  • DALI 通信のボーレート:1200bps
  • ビット幅注: 1 ビット = 833.3 μs±10%

注 :Forward フレームと Backward フレームとを問わず,ビット幅は同じです。

(2) フレーム間のタイミング
DALI はフレーム単位で,次のタイミング制御が必要です。

  • Forward フレーム幅:15.83 ms±10%
  • Backward フレーム幅:9.17 ms±10%
  • Forward フレームと Backward フレームとの通信間隔:2.92~9.17 ms
  • Forward フレームと次の Forward フレームとの間隔:9.17 ms 以上
  • Backward フレームと次の Forward フレームとの間隔:9.17 ms 以上
コマンド

(1) アドレス・バイト
DALI 通信プロトコルは 3 つのアドレス・モード(ブロードキャスト,グループ,シングル)をアドレス・バイトで指定して,スレーブのデバイスをコントロールしています。アドレス・バイトは特殊コマンドを表すこともあります。

アドレス種類 アドレス・バイト
ブロードキャスト・アドレス 1111111S
64 ショート・アドレス 0AAAAAAS (AAAAAA=0-63)
16 グループ・アドレス 100AAAAS (AAAA=0-15)
特殊コマンド 101CCCC1
110CCCC1
A: アドレス・ビット
S: セレクト・ビット DirectArcPowerControl コマンドか他のコマンドかを選択するビットです。
S = ‘0’ DirectArcPowerControl コマンドです。データ・バイトは調光レベル設定になります。
S = ‘1’ データ・バイトはその他コマンドのコマンド・ナンバーになります。
C: 特殊コマンド・ナンバー

コマンド例:

  • グループ・アドレス 9 のスレーブを調光レベル 254 に設定する場合
  • アドレス・バイト データ・バイト
  • 10010010 11111110

解説:

  • アドレス・バイトの上位 3 ビットが 100 となっていることから,グループ・アドレス指定となります。また,ビット 4-1 が 1001 なので,グループ・アドレス 9 が選択されています。
  • 最下位のセレクト・ビットが 0 なので,このコマンドは Direct Arc Power Control コマンドとなり,2 バイト目(データ・バイト)で 254(最大調光レベル)の直接調光レベルを指定しています。

(2) コマンド
ここでは DALI 通信プロトコルの主なコマンドを示します。

コマンド種類 Command例 役割 アドレス コマンド/データ(8 ビット)
Arc power
control commands
調光レベルを操作する
コマンド
DIRECT ARC POWER CONTROL 数値で直接調光レベルを指定する(フェードあり) YAAAAAA0 XXXXXXXX
OFF オフにする YAAAAAA1 00000000
SET UP 現在の調光レベル+1 (フェードなし)オンオフなし YAAAAAA1 00000011
Configuration
commands
スレーブの設定を行う
コマンド
RESET スレーブの設定を初期化 YAAAAAA1 0010 0000
ADD TO GROUP アドレスで使用されたスレーブをグループ XXXX に加える YAAAAAA1 0110XXXX
Query commands
スレーブの状態を調べるコマンド
QUERY STATUS STATUS INFORMATION を返す YAAAAAA1 10010000
Special commands
アドレス設定を行うコマンド
INITIALISE アドレス検出動作を開始する(XXXXでスレーブを指定) 10100101 XXXXXXXX
Extending special
commands
機能拡張用のコマンド
ENABLE DEBICE TYPE X デバイス XXXX を追加する(特殊なデバイスの追加) 11000001 XXXXXXXX
Application extended
commands
デバイス拡張
規格更新用コマンド
QUERY EXTENDED VERSION NUMBER デバイスタイプと対応する通信規格のバージョンを返す YAAAAAA1 11111111

DALI調光システムメーカー例

Helvar

日本国内ではヘルバージャパンとして株式会社レイオスがヘルバーの調光システムを取り扱っています。
ヘルバーの調光システムはDALI、S-DUM、DMXに対応しており、一般的な調光インターフェースに幅広く対応しています、
無線対応としてはenocanとのゲートウェイを用意して対応しているようです。

LUMIA INC. ルミア株式会社

当社の調光システムは独自の通信仕様で無線化を行っています。
有線による配線工事は工事現場の工数を増やしてしまいます。当社のコンセントとして「如何に施工の工数を軽減するか!」についても重要なテーマと考えています。
DALIに関する取り組みは「ゲートウェイ機器」により対応する方針です。
DALIネットワークとLUMIAネットワークの間に「ゲートウェイ機器」を設置し、DALIのサブネットワーク下にLUMIA調光ネットワーク網を置くことが可能になります。
我が国の更なる省エネ化のために、調光システムの対応は積極的に行っております。
詳しくは以下にお問い合わせください。

お問合せ先

ルミア株式会社 第一営業部 TEL : 03-6240-3817 email : sale(at)lumia.co.jp